犬のワクチンについて
ワクチン
混合ワクチンと言う言葉を聞いたことがありますか?
- なぜ打たなければならないの?
- いつころ打ったら良いの?・必ず必要なことなの?
- 伝染病はどんな時に発生するの?
- どんな種類があるの?
など疑問にお答えします。
これらを知った上で購入先を選び、そして大切なパートナーを守ってあげてください。
ワクチン接種時期はいつが良いのか?
子犬・猫は、母親の母乳を飲んでいるうちは移行抗体によって守られています。
この抗体はあらゆる病気に対して免疫物質を多く含んでいます。
たまに母乳を飲む力のない弱い子が生まれる場合もありますが、その場合は免疫力が弱いために死に至ることが多いものです。
しかし、生後3週間~4週間ほどしますと母乳から離乳食に変わり、移行抗体も42日から150日で消滅してしまうのです。
そのために移行抗体が切れた頃にワクチンを接種する訳です。
その切れるタイミングがはっきりしているならいいのですが、個体差があるために本や獣医などの答えの違いになっているのです。
ワクチンが効いているかどうか調べるには、血液検査をし高いお金と時間を掛ければ可能ですが、これよりもワクチンを打った方が早く安く済むわけです。
検査結果を待つ間に発症したら意味がありません。
それでは、42日目に打てば良いのか?
そんなことはありません。
移行抗体が残っている内は、ワクチンを打ってもバウンドし抗体が作れないからです。
従ってダメ元で、42日目から50日頃に1回目を打って、それから3週間~1ヵ月後に2回目、さらにそれでも移行抗体が残っている場合もあるため、また3週間~1ヶ月おいて3回目を打つ場合もある訳です。
移行抗体の切れるタイミングが判れば1回で済むのですが・・・。
恐いのは、 42日目に打っても効いていなくて(効いているか否かが判らない) 2回目に打つ間に感染する場合ですね。 それは1回目を50日で打っても60日で打っても同じことです。
従って一般的には2ヶ月目と3ヶ月目の2回打つケースが多い訳です。
ところによっては、念押しにさらに1ヵ月後に3回目を打つケースもあります。
ワクチンを打たないと伝染病になり易いのか?
答えは「万一に備えたもの」と言った方が正解かも知れません。
感染症は100%外部要因によるものだからです。
感染源であるウィルスと接触しない限りは、発症することはあり得ないのです。
例えば最も恐いとされているパルボウィルスは、感染した犬の糞、嘔吐物、それに接触した人の手足などから経口感染するものです。
しかし、発症するまでに潜伏期間(おおよそ1週間~2週間)がありますから、気付いた時にはすでに手遅れで全滅したりする訳です。
今までにこんなペットショップ、ブリーダーをたくさんみてきました。
ウィルスをどこで拾ってしまうか誰にも予測できませんね。
ワクチンによる抗体は1年で切れてしまいますから1年後にまた接種しなければなりませんが、その接種をしていないために感染している犬との接触だって色々な場面で考えられます。
お散歩の時に接触したり、ドッグランで遊ばせている間に起りうることなのです。
従ってお互いに予防措置を施すことが義務付けられている訳です。
こんな場面を考えると、「万一に備える」と言う表現は適切でないことがお判りいただけるでしょう。
ワクチンにはどんな種類があるの?
ワクチンには「生ワクチン」と「不活化ワクチン」 の2種類があります。
生ワクチン
読んで字のごとく、生きているウイルスです。
弱毒株と言われる弱いウイルスなのですが、接種後、体内で増殖し、病気に感染した状態になります。
この過程で抗体ができるので非常に強力な免疫力がつきます。
不活化ワクチン
殺したウイルスを材料にしているので 接種後の増殖はありません。
このため、生ワクチンに比べると免疫力が弱く、持続力も劣ります。
混合生ワクチンで抑えられる(予防出来る)伝染病がほとんどです。
予防出来る病気の中には、人にも感染することがある 「人畜共通感染症」 もありますので、要注意です。
混合の種類は多ければ多いほど良い訳ではありません。
いわば、毒を注入するのですから、それなりのリスクがあることは理解しなければなりません。
一時的に弱ったり、アレルギー反応を起こしたりする子もいます。何種混合が良いのかは、信頼できる獣医師によく相談した上で、決めると良いでしょう。
感染症には何があるの?
感染症とは?
病原体となる微生物が、動物の体の中に入り込み増殖していくことを 感染したと言います。 感染したことによって、体の働きや仕組みにいろいろな障害が起こることを 発症したと言います。
こうした微生物によって引き起こされる病気を 『伝染病』 といいます。移らないものは『伝染病』とは言いません。
感染症の病原体となる細菌やウィルスなどは肉眼では見ることはできず、光学顕微鏡や電子顕微鏡で観察できます。
感染経路
空気感染
咳やくしゃみなどによってばらまかれたウィルスや細菌を吸い込むことによって感染
母子感染
仔犬が母犬のお腹に入っている時に胎盤を通じて感染するものや、生まれてくる時に産道で感染するもの、母乳を飲むことによって感染するものなどがある
経口感染
ウィルスや細菌のついてる物を舐めたり食べたりして感染
ワクチンの種類
2種混合ワクチン
ブリーダー段階でお届け前に接種するときには最低これを打ちます。
この場合犬ジステンバー、犬パルボウィルス感染症の2種を言います。
これが最も発症確率の高い恐い感染症だからです。
5種混合ワクチン
犬ジステンバー、犬パルボウィルス感染症に加え犬アデノウィルス2型感染症、犬伝染性肝炎、犬パラインフルエンザを言います。子犬の状態により、初回はこの5種もしくは6種を選択する獣医が多いです。
8種混合ワクチン
上記に3種追加されたものですが、この中には犬レプトスピラ病と言う 人畜共通感染症 も含まれています。現在では9種混合ワクチンまで整っています。
以上は、現在一般的に行なわれている混合ワクチンです。
これとは別に 最も恐い、発症すると必ず死亡する人畜共通感染症でもある「狂犬病」があります。
これに対しては狂犬病予防法で法定ワクチンとして、ワクチン接種が義務付けられており、犬を飼い始めてから30日以内に1回、その後は毎年1回受けなければなりません。
また、これらのワクチン接種後には、激しい運動や移動、シャワーなども控えないとなりません。 可愛いパートナーを守ってあげるためにも、毎年1回の接種義務を怠らないでください。